ボートレースのチルト3度は諸刃の剣?伸び仕様の特徴と舟券攻略法

ボートレースのチルト3度は諸刃の剣?伸び仕様の特徴と舟券攻略法

ボートレースファンなら一度は憧れる衝撃的な光景。 大外から一気に全艇を飲み込み、バックストレッチで突き放す「チルト3度」の大まくり

「チルト3度のアウト戦はロマンがある!」 そう思って舟券を買ったものの、「全然ターンができずに飛んでしまった…」「スタートで凹んで終わった…」という悔しい経験をしたことはないでしょうか?

実は、チルトを最大角度の「3度」に跳ねる戦法は、圧倒的な「伸び」を手に入れる代わりに、旋回性能を極端に犠牲にするまさに「諸刃の剣」です。ただ闇雲に買うだけでは、痛い目を見ることになります。

そこで本記事では、チルト3度がなぜ直線で速くなるのかという仕組みから、メリット・デメリット、そして「どんな条件なら高配当が狙えるのか」という具体的な舟券攻略法までを徹底解説します。

これを読めば、出走表や展示航走で「チルト3」の文字を見つけた瞬間、それが「鉄板のチャンス」なのか「危険な罠」なのかを冷静に判断できるようになります。

そもそも「チルト3度」とは?驚異の伸び足の正体

ボートレースの専門紙や出走表で、時折見かける「チルト3.0」という数字。まずは、なぜこの設定がこれほどまでに注目されるのか、そのメカニズムを解説します。

チルト角度の仕組みと「3度」の特殊性

「チルト」とは、モーターをボートに取り付ける際の角度のことです。 通常、この角度は「-0.5度」から「3.0度」の範囲で0.5度刻みに調整が可能ですが、多くの選手は「-0.5度」を基本定位置としています。

「-0.5度」はモーターがボートに対して平行に近く、ボートが水面に張り付くため安定して走れます。対して「3.0度」はこの角度を最大まで跳ね上げた状態であり、ごく一部の選手しか採用しない特殊なセッティングなのです。

なぜ速くなる?接水面積の減少が生む「直線番長」

チルトを跳ね上げて「3度」にすると、プロペラが斜め下を向く形になります。すると、推進力のベクトルによってボートの舳先(へさき)が持ち上がります。

ボートの舳先が上がるとどうなるか? 水面とボートが接する面積(接水面積)が極端に少なくなり、水から受ける抵抗が激減します。

  • チルト-0.5度:水面に張り付く → 抵抗が大きい → 安定するが伸びない
  • チルト3.0度:水面から浮く → 抵抗が小さい → 直線で爆発的に伸びる

これが、チルト3度が「直線番長」と呼ばれる物理的な理由です。

チルト3度を採用するメリット・デメリット(諸刃の剣)

圧倒的な直線の速さを手に入れられるなら、なぜ全員がチルト3度にしないのでしょうか? それは、メリットを打ち消すほどのリスク(デメリット)が存在するからです。

【メリット】一撃必殺の「まくり」が決まりやすい

最大のメリットは、スリット(スタートライン)を通過してからの「伸び足」です。 スタートが同体、あるいは多少遅れても、直線のスピード差だけで内側の艇を強引に抜き去る「まくり」が可能になります。

インコースが圧倒的に有利な現代ボートレースにおいて、自力で展開をぶち壊して勝てるチルト3度は、観客を熱狂させる最大の武器となります。

【デメリット】初動が掛かりにくく、ターンが流れるリスク

一方で、デメリットは「旋回性能(回り足)」の悪化です。 舳先が浮いているため、ハンドルを切ってもボートが水面を噛まず、思ったように曲がれません。無理に曲がろうとするとボートが暴れて(キャビテーション)、ターンマークを大きく外して飛んでいってしまうことがよくあります。

出足・ピット離れへの影響とスタートの重要性

また、チルト3度にする選手は、プロペラも「伸び仕様」に叩き変えることがほとんどです。 最高速を重視するあまり、「出足(加速力)」や「ピット離れ」は最悪になります。

ピット離れで遅れて不利なコースに入ったり、スタートで加速がつかずに置き去りにされたりすれば、その時点でレースは終了です。つまり、「スタートを決めきれるかどうか」が生命線となるのです。

【舟券攻略】チルト3度の選手はどう狙う?勝つための3つの鉄則

では、実際に舟券を買う際、チルト3度の選手をどう扱えばよいのでしょうか。高配当を狙うための3つの鉄則を紹介します。

狙い目①:4カド〜6コースのアウト戦なら「買い」

チルト3度は「小回りが効かない」ため、1〜2コースのスロー水域には不向きです。助走距離をたっぷり取れるダッシュ勢(4・5・6コース)に入った時こそ真価を発揮します。

特に狙い目なのは「4カド」または「大外6コース」です。 内側の艇が壁になっていても、それを外から強引にまくり切る展開を想定して買い目を組み立てましょう。また、「まくり一撃」が決まる時は、その外側の艇(マーク策)も連動して2着に来やすい(スジ舟券)ことは覚えておきましょう。

狙い目②:展示タイムが他を圧倒しているか確認

「チルト3度に設定しました」という情報だけでは不十分です。実際にモーターが出ていなければ意味がありません。 必ず「直前情報の展示タイム」を確認してください。

もしチルト3度の選手のタイムが、他の選手より「0.10秒以上」速ければ大チャンスです。逆に、チルト3度なのにタイムが平凡であれば、調整失敗の可能性が高いため「消し」の判断が必要です。

危険な条件:波が高い日や安定板装着時は「見送り」

チルト3度の天敵は「荒れた水面」です。 ただでさえ舳先が浮いて不安定な状態なので、波が高いとボートが跳ねてしまい、まともに走れません。

また、荒天時に装着される「安定板」がついた場合も要注意です。安定板は抵抗が増えるため、チルト3度の長所である「伸び」が殺されてしまいます。「チルト3度+安定板」の組み合わせは、メリットが消えてリスクだけが残るため、基本的には「見送り(ケン)」が賢明です。

知っておきたい基礎知識:使用可能な競艇場と代表的レーサー

最後に、チルト3度を使いこなすための基礎知識として、レース場ごとの制限と代表的な選手を紹介します。

全24場の中でチルト3度が使用可能なレース場一覧

実は、すべての競艇場でチルト3度が使えるわけではありません。水面の広さや特性により、最大角度が制限されている場があります。

  • 最大3.0度までOKの主な場: 平和島、多摩川、浜名湖、常滑、三国、尼崎、鳴門、福岡、唐津 など多数
  • 制限がある場の例:戸田」最大0.5度(水面が狭いため)、「江戸川」 最大2.0度(唯一の河川で波があるため ※状況により変化あり)

※ルールは変更される場合があるため、必ず当日の出走表を確認しましょう。

阿波勝哉・菅章哉など「チルト3度」のスペシャリストたち

「チルト3度といえばこの人!」というスペシャリストが存在します。彼らが出走する際は、オッズに関わらず注目です。

  • 阿波勝哉(アワ・カツヤ)選手: 「ミスター・チルト3度」。東京支部のベテランで、かつて6コースからのまくりだけでA1級を維持した伝説的な「アウト屋」。
    ※現在はアウト屋を卒業しています
  • 菅章哉(スガ・フミヤ)選手: 徳島支部の実力派。グレードレース(G1など)でも積極的にチルト3度を採用し、格上の選手をまくり倒す姿を人は愛称を込めて「ガースー砲」と呼ぶ。

彼らの名前を見かけたら、ぜひ展示タイムをチェックしてみてください。

まとめ:チルト3度は「展示」と「水面」を見て高配当を狙え

ボートレースにおけるチルト3度は、ハマれば最強、外せば最弱の極端な戦法です。

  1. 仕組み: 舳先を上げて抵抗を減らし、直線特化にする設定
  2. 狙い時: 4〜6コースのダッシュ戦で、展示タイムが抜けて良い時
  3. 捨て時: 水面が荒れている時、安定板がついている時

この特徴を理解していれば、チルト3度は恐れるものではなく、高配当を運んでくれる頼もしい相棒になります。

次のレースで「3.0」の数字を見つけたら、迷わず展示タイムをチェックして、一撃必殺の「まくり」に夢を託してみませんか?

以上、チルト3度の攻略解説でした。

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